Creamオープニングイベントレポート|前編ー式典・基調講演
Creamオープニングイベント開催
2024/11/11(月)ふくいクリエイティブホーム「Cream」のオープニングイベントを開催しました。
会場は、Creamの窓口が行われるFUKUMACHI BLOCK1階のPLAYCEと、異業種交流も含めマッチングの場となる越乃バレーでパブリックビューイングを開催。
式典・基調講演・トークセッションでは、平日の日中に関わらず、会場参加・オンライン参加を合わせて、80名以上の方に参加いただきました。また、夕方から開催された交流会ではクリエイターや企業の方、100名を越える方にご参加いただきました。
式典
式典では、ふくい産業支援センター吉田部長からCreamの説明が行われました。Creamは、ふくい産業支援センターデザイン振興部(デザインセンターふくい)のまちなかサテライトオフィスとして設置され、企業などのクリエイティブに関する相談などの支援やクリエイターの交流、県民向けのクリエイティブセミナーを開催していくCreamの事業について紹介。
主催挨拶のふくい産業支援センター白嵜理事長からは、デザインという範疇がまちづくりや地域活性化など、クリエイティブが求められる範囲が広がっている話がされました。また、ともに運営を担う(一社)福井県クリエイター協会(略:fucco)の景山代表理事の挨拶では、クリエイター協会としては、セミナーなど開催していきながら、県民の創造性を高めていくことに寄与し、Creamを今後活用いただきたいとお話がありました。
また、来賓でお越しいただいた杉本知事からは、「企業とクリエイターが交わり、創造性によってさらなるイノベーションが生まれる拠点として期待する」という言葉をいただきました。
基調講演「創造力を資源に地域社会の可能性を拓く」〜別府・大分県での取り組みより〜
基調講演では、講師の山出淳也氏(Yamaide Art Office Inc.)より、別府・大分県での取り組みについてご講演いただきました。
2004年に海外から別府に戻り地域でのアートプロジェクトをつくっていくにあたり、NPO法人ベップ・プロジェクトを設立、これまで実現してきた1000以上の取組みは、文化芸術、教育、移住・定住、福祉、産業と幅広く展開され、行政・企業・地域のみなさんとパートナーになりながら地域社会の未来をつくる取り組みを行われてきました。その活動は、「俯瞰し整理・編集しプロトタイプを創る」法人として、今までにない新しいモデルをつくってこられました。
また、山出さん自身がアーティストという立場から、「アートとは何か?」を考え続けてきたといいます。100人が100人の美しいと思えることがあり、表現方法も違っていい。アートの定義を更新しつづけることが大切ではないか。そして、別府でのアートプロジェクトの紹介から、「アーティストとは、自由な視点・考え方を我々に気づかせてくれる媒介者であり、優れたアーティストは、これまでになかった価値を生み出してゆく存在」といいます。
こういった別府でのアーティストの活動や、芸術文化を介したプロジェクトから、「街をハックし、必要なことは自ら創る、それは地方都市だから可能なことであり、何かを始める人を誘発することで、この土地ならではのコミュニティをつくることを大切にしてきました」とお話いただきました。
話は、大分県の「CREATIVE PLATFORM OITA」に変わり、さまざまな社会課題やニーズの多様化など、地方における慢性的な課題を新たな視点で解決する。課題を整理し、事業後のビジョンを組み立てた上で、クリエイターと企業のマッチングする取り組みを行われてきました。
ヒアリングを何より重視し、いかなる課題に対しても向き合ってくれる相談窓口が必要と。Creamでの今後のマッチングや相談窓口としての姿勢としても参考になるお話でした。
20世紀の都市モデルは、「産」(働く場所の確保)→「人」(移住)→「場」(消費を促すサービス業)の流れで考えられていることが多いことに対し、文化芸術創造都市の実現に向けたプロセスとしては、「場」創造的事業でイメージ向上=魅力の発信→「人」創造的人材を受入れる政策=人材の誘致→「産」創造的人材による化学反応=産業の創出と、20世紀の都市モデルとは異なるプロセスが大切だといいます。
現在VUCAといわれる不安定な社会のなかでは、今までにない考え方であったり、今までにない価値を生み出していく、そういった創造的な行為や創造的な思考をもつ人が求められており、創造的人材を構成する一部として、アーティストの存在があり、わたしたちの創造性にスイッチを入れてくれ、増幅してくれる存在であり、想像できないことも創っていく人々が身近にいてくれることで、わたしたちの潜在能力を高めてくれる存在と私は思っている。そして、創造的人材が、どういったところにいてくれるか、それは、失敗をおそれない風土のところに集まるといいます。
福井という地域を前進させていくには、地域のもとになるところ「Capital=資本」に「Creativity=創造力」に位置づけしなおし、常識・固定観念など自分自身を束縛するようなものに惑わされない、チャレンジすること「のみ」がわれわれを前進させてくれる大切な土壌であって欲しいなと思い、それが、ふくいクリエイティブホーム「クリーム」であるといいのではないか。と、お話いただきました。